1984年8月27日、フィンランドの西ラップランド地方にあるケロプダス病院にて、「
その人のいないところでその人の話をしない」といった取り決めがなされました。こ
れがオープンダイアローグの始まりです。
治療に関することはつねにオープンに、相談者と多職種スタッフとの「対話」でなさ
れるようになりました。相談者の思いを大事にし、その方の意思を尊重することを中
心にした「対話」実践のなかで、相談者の精神症状や家族関係が安定し、住み慣れた
地域での生活ができているといいます。
このようなオープンダイアローグの考え方に感銘を受けた私たちも、フィンランドで
生まれたそのあり方を大事に心にとどめながら、私たちがこの場所で出会う方たちと
一緒に、私たちなりの「対話」のあり方をつくっていきたいと思い、当相談室を立ち
上げました。
人と人が関わるさまざまな場面において、対象となっているその人がいないところで
、その人をどうするか、周りの人たちだけで話し合って決めてしまうことが、私たち
の社会では、当たり前に行われているように思います。
当相談室の「対話」では、ご相談にこられる方が話してくださるさまざまなお話をう
かがい、私たちがそれを聴いて感じたことや、自分のこころの内にわき起こった感じ
、アイディア、さらに知りたいと思うこと、などを伝え返してゆきます。
そういったやりとりを繰り返す「対話」によって、ご本人の意思に反して周りから何
かを強いられることのない安全な場で、その方が自分の人生をどのように生きるかを
考えることができ、回復や治癒、自己理解、行動変容、ストレス軽減といった変化が
生まれると考えています。
私たちはこのように、オープンダイアローグの考え方をベースにした「対話」の場を
提供することで、相談者の方々の意思が最大限に尊重され、相談者の方ご自身があり
たい自分の姿でいられることをサポートします。
ダイアローグ・ラボぐんま 統括 坪田裕佳